283プロに存在する巨大なユニット対比についての概要と検討

 こんにちは,たくや(記事執筆者大募集中)です。

 

 この記事は298production Advent Calendar 2022の8日目の記事です。

 7日目の記事はこちらから

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 いやほんとにスケットダンスは我々の青春ですよね。

 ギャグでもシリアスでも友情も恋愛もなんでもこなす学園物の金字塔だと思います。

 

 さて今回は283プロに存在するユニットの(ひいてはアイドルのごとの)対比構造について考えていたことをまとめようと思っています。

 ただ,元々これはもう少し根拠が集まってから書こうと考えていた記事なので多少雑な所も多い記事にはなるかと思います。まあそこは皆さんと一緒に考えていこうといった感じで大目に見ていただけると嬉しいです。

初めに

 さて我々にはおなじみ283プロにはテーマの一つとして虹が設定されています。

 それぞれのユニットが赤・青・黄・緑・紫・橙・ピンクの7つのユニットカラーを持ち,それがResonance+の「七色を越えて」や,「虹の行方」のような曲タイトルにも反映されていますね。

 このように事務所全体で仕込まれているネタのようなものが存在していることから転じて,追加されるユニットについてはある程度の展望や計画が元々存在していたことが分かります。

 そこで今回は,事務所全体に存在する対比構造についても存在を仮定し,根拠を提示していきたいと思います。前述のとおり,根拠には不十分なところが多くありますので,一緒に他の根拠について考えていきましょう!

 

 また,今回の記事は以下の動画に影響を受けて作られています。是非参照してみてください。

www.nicovideo.jp

 

イルミネーションスターズ×ストレイライト

 初めに紹介するのは,イルミネーションスターズとストレイライトの対比構造です。

 この対比自体は既に多く言われてきたネタで,特に「ストレイライトはイルミネのライバルユニットとして登場した」という風な言われ方をされたことが多かったです。ですので既にご存知の話も多いですが,おさらいということで根拠を確認していきます。

 

 まずユニット単位の対比としては,「illmination STARS」と「Straylight」は,どちらも光をキーワードに持つユニットになっています。

まあ厳密にはイルミネは「星」がテーマなのですが,ユニット紹介では「小さな光を宿した」とありますし,「ヒカリ」がキーワードではありますし…

 一方でストレイライトも「迷光」というキーワードが存在していますね。「迷光を纏い」というフレーズや,Straylightというネーミング自体が迷光を意味しています。

 

 次の根拠として,それぞれのメンバーにVoDaViの振り分けがされている点が挙げられます。

 

 「綺麗な声を持つ」という点が評価をされる真乃と,「ダンスにキレがある」と評されるめぐると,どのような表現をするのかをユニットで共有する灯織(根拠薄)の三人がいますね…。まあ!灯織がどうであれ,真乃とめぐるがVoDaであるのは明確ですし,灯織も顔がいいのでOKでしょう。

 一方ストレイライトも「海辺のアイドルバトル」において,VoDaViの担当を決めています。

 ここでは,冬優子がVo,あさひがDa,愛依がViに設定されています。それぞれのアイドル達の対比についてもここから対比していこうと思います。

 

 まずは櫻木真乃と黛冬優子との対比ですが,どちらもユニット内のアイドルとしてキュート担当と言えます。加えて真乃はまさに冬優子の考える「ふゆ」を体現したような存在であると考えられます。その純粋さや,冬優子の朝コミュでふゆの姿として描かれた「センスが独特」というような要素も,「鳥とお話しする」ような不思議さに現れています。そのような女の子像を素でやってのける真乃と,理想の女の子として追い求める冬優子は対比的であると言えます(根拠薄)

 

 次に風野灯織と和泉愛依の対比ですが,どちらもユニット内のアイドルとしてクール担当と言えます。また,初回のコミュである「Light up the illumination」「Straylight.run()」において,灯織は真乃に厳しい言葉を告げてユニットのすれ違いを生んでしまう行動をとっていましたが,一方愛依はあさひと冬優子がぶつかる時もそれを仲裁したりそれぞれにフォローを入れたりとむしろユニットのバランサーとして動いていました。これらの行動が対比的に捉えられます。

 

 最後に八宮めぐると芹沢あさひの対比です。同様にどちらもユニット内のアイドルとしてパッション担当と言えます。加えてこの二人はどちらも学校での孤独を味わった経験がある点が印象的な共通点としてあります。また,先ほどと同様に初回のコミュでは,あさひがユニット内でのぶつかりを生み出す存在であったのに対し,めぐるは真乃や灯織のフォローをし,ユニットの仲を深めていきました。このような姿や経験などから,対比的な関係が感じられます。

 

アンティーカ×ノクチル

 次に紹介するのはアンティーカとノクチルの対比構造です。

 この二つのユニットは,どちらも海を泳ぐ船としてのメタファーを持っています。

 もっともアンティーカに関しては海を越えて宇宙一になってしまっているのですが…


 また,イベントシナリオ「天塵」においては,新人アイドルとして番組に出るノクチルに対し,パフォーマンスもキャリアも上のアイドルの存在としてアンティーカが登場します。

 ここで適切な対比構造として出すのであれば,283プロの最初のアイドルである「イルミネーションスターズ」を出すのがいいでしょう。それか人気のあるアイドルという形で登場させるのであれば,既に感謝祭でゴールデンの番組にも登場を果たしている「ストレイライト」を出せば追加ユニット同士の対比にもなり,非常に美しい対比になります。そこであえてアンティーカを出すというのは,意図的な対比構造が隠れているのだと解釈することが出来ます。

 

 加えて,アンティーカとノクチルはどちらも「月岡恋鐘」「浅倉透」という絶対的なリーダーを中心としてまとまっているユニットであるという共通点もあります。

 お互いを気遣って一歩を踏み出すことが出来ない(できなかった)アンティーカにおいて一歩を踏み出す存在であり,またずっと終わらない夏休みみたいな四人の毎日をノクチルというアイドルに導いた存在であるのが,この2ユニットのリーダーなのです。

それでは続けてユニットメンバーの対比を紹介していきます。順番は根拠に自信がある順です。後に行くほど根拠が可哀そうになっていきます。

 

 まずは,三峰結華と市川雛菜の対比です。えっそうなの!?と思った人もいるかもしれませんが,そうです。

 まず,結華は「他人の幸せのために自分を殺す」というような描写が多いです。それは自分のキャラだったり,気遣いだったり,やさしさから出る嘘だったりと形が様々ではありますが。

 その一方で,雛菜は言うまでもなく,自分のしあわせをとても大切にし,大きな行動原理の一つにしているという点が非常に対比的です。また,ノクチルの3週目の衣装「セイルテイルブリーズ」の思い出演出が(これは雛菜に限らずですが)アンティーカの対応するメンバーのガシャ演出をオマージュした演出が挿入されています。

【NOT≠EQUAL】三峰結華

TRICK☆☆☆】市川雛菜

 

 続いて,田中摩美々と福丸小糸の対比について解説していきます。

 摩美々は言わずと知れた「悪い子」であるのに対し,主席かつ練習や勉強を熱心に行う小糸は「いい子」であると言えるでしょう。この二人はここで対比になっています。

 また,先ほどと同様にアピールのオマージュも存在します。 

【アバウト-ナイト-ライト】田中摩美々

【てのひらの答え】福丸小糸

 

 続けて,幽谷霧子と樋口円香の対比について解説していきます。

 霧子と対比になっているのは(多分)円香です。霧子がプロデューサーに気を遣ったりプロデューサーの健康状況に気を配ったりするような献身的なアイドルであるのに対し,円香はプロデューサーに対して強く当たるシーンが非常に多いです。

 また,円香の実装時のコミュの中に存在が暗示された唯一の他ユニットのアイドルも霧子だったりします。

(花の)世話をしてる人がいるんですね……

 また,(一応)前述のように(自信ないけど)今回も(ないと見栄え悪いし)アピールの対比を示しておきます。円香と透に関してはマジで自信がないというか,もはやでっち上げの域に達していると自負しています。

【かぜかんむりのこどもたち】幽谷霧子

【ピトス・エルピス】樋口円香

 

 最後に,月岡恋鐘と浅倉透の対比について解説していきます。

 前述のとおり,二人はどちらもユニットを導く存在としてユニット内で圧倒的な存在感を示しています。また,どちらも抜けている所がありますよね!(根拠薄)

 一応最後に同様の根拠を示しておきます。気持ちよくすっきりとこの記事で納得したい人は見ないでください…。

風吹く丘にはよ来んね】月岡恋鐘

【つづく,】浅倉透

 マジでここの円香と透の対比のところはオマージュだと思われる部分の根拠を無限に募集しています…。

 

 

放課後クライマックスガールズ×シーズ

 次に放クラとシーズの対比について解説していきます。

 放クラはユニット紹介に「ファンもプロデューサーも世界も巻き込んで」とあるように,観客も巻き込んだ一体感のあるような曲やコール&レスポンスが魅力の一つであるのに対し,シーズはユニット紹介に「だから黙って聴いていて。」とあるように,その対極のような「釘付けにする」ようなパフォーマンスをするユニットであるという形で対比的な存在になっています。

 また,放クラが「放課後」「青春」というようなテーマを持ち,実際にメンバーも学生として学校に行ったり様々なことを学んでいったりする一方で,シーズの二人はそれぞれが学生として「放課後」と言えるような時間のほとんどアイドル業に費やしていて,放クラが考えるような情緒的な「放課後」を否定するような存在であると言えます。

 

 続いて,アイドル同士の対比をしていきます。

 

 まずは果穂-夏葉とにちかー美琴の対比の話から始めていきます。果穂と夏葉は年齢が8歳離れているのですが,最初はこれが283プロにおけるユニット内の年齢差の最大でした。そしてのちに実装されたシーズ(16歳と24歳)はこれに並ぶ8歳差で,非常に特徴的と言えます。また,この二人はどちらも赤-緑のアイドルカラーをしていて,果穂-美琴と夏葉-にちかは同系統の色を担当しています。

 

 それでは果穂と美琴の対比の解説をしていきます。

 この二人は前述した二つの対比に加え,283プロ内の最年少と最年長という形でも対比的です。またそれに関連して果穂は【窓辺・サイレントタイム】でも示されているように,未来ある存在として描かれることが多いです。

 その一方で美琴は「誕生日を迎えるのが少し怖い」というようなセリフや,「理想のアイドルになれるなら,死んでもいい」というような,未来を否定するようなセリフが多く,また24歳という最年長の条件も相まって,緋田美琴というアイドルのテーマの一つとなっています。

 

 次に夏葉とにちかの対比について解説していきます。

 この二人は前述した二つの対比に加え,まあ簡単に言ってしまえば経済的な要素で対比的な差があります。最初の頃はバスでクレジットカードが使えると思っていた夏葉と,スーパーの特売に走って生活をするにちかは対比的な関係にあると言えます。

 …まあちょっと急ごしらえで根拠があまりないんですけど…。みんなで探していけば将来的にはきっともっと根拠が見つかるはずです!

 

アルストロメリア

 さて,283プロのユニットは7つなので,ユニットごとに対比をさせていくと最終的にユニットが一つ余ってしまいます。そのユニットはアルストロメリアなわけですが,アルストロメリアは,ユニット内で大崎甘奈と大崎甜花の対比が成立しています。

 283プロ唯一の双子であり,アイドル衣装でも白と黒,天使と悪魔など多くの場面で対比的に扱われることが多くあります。この二人が対比的であるということに異論がある人は多くないでしょう。

 

 そしてそうなると,唯一余るアイドルが桑山千雪になります。

 ここの解釈は少し難しいのですが,まあシーズが追加されるまでは最年長の23歳であり,加法混色において混ざり合う果てにできる色である「白」をアイドルカラーにしている千雪は,まあ余るというか,アルストの対比の中心にいるアイドルとしてはふさわしいでしょう。

 また,色の上では斑鳩ルカの黒色と対立するため,千雪とルカを対立させて考えることもできます。ただ,まだあまりルカの情報が多くないので,ここでは割愛しようと思います。

 

まとめ

 いかがでしたでしょうか。

 正直根拠に甘い部分があるとは思うのですが,特に雛菜と結華の対比であったりイルミネとストレイの対比であったりと,ただの偶然では片づけられないような要素も多く存在しているので,一考の余地がある意見として捉えていいと思います。

 ぜひ皆さんからの根拠をお待ちしています。

 ここまでご覧いただきありがとうございました。

 

 

 

 それじゃ今から明日の記事を書きます…

 

 

「友情・努力・勝利」から考える追加ユニットと,その初回イベコミュの「お話」としての異質さ

 こんにちは,たくや(AI2回行動)です。

 

この記事は298production Advent Calendar 2022の3日目の記事です。

298production Advent Calendar 2022 - Adventar

 

2日目の記事はこちら

 

 

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私の持ち武器は現環境最恐武器,スパイガジェットです。

 

 

 さて,今回は私が前々から温めていた一つの気づきを記事にしようと思います。

 

 始めに

 

 皆さんは「友情・努力・勝利」という言葉をご存知でしょうか?

 この言葉は,主に少年漫画における王道の展開を標語にしたものですね。

 例えば「ナメック星に向かう船内でパワーアップを果たした悟空(努力)が」,「仲間のクリリンの死をきっかけにして覚醒し(友情)」,「フリーザに勝利する(勝利)」というのは典型的な「友情・努力・勝利」の展開だと言えます。

 もちろん近年になってフィクション作品の展開は多様化の一途をたどり,現在ではこの標語がそこまで声高に叫ばれることは多くありません。

 ですが結局のところ「友情・努力・勝利」という要素を完全に排除して作品を作るのはもはや不可能ですし,「熱い友情が芽生える」「修行して手に入れた圧倒的な力を見せる」「宿敵や悪役を倒す」といったシーンは我々の心を強く動かします。ですから未だにこの標語はフィクションにおいて重要視されているのではないでしょうか。

 もちろんこれはアイドルのストーリーにおいても例外ではありません。「ユニットやアイドル仲間との友情」「いいステージをつくるためのレッスンや創意工夫」そして「ライブ大成功!」というような展開はまさに古き良き王道の展開なのではないでしょうか。

 

 そのような視点でシャニマスの追加ユニット「Straylight」「noctchill」「SHHis」の三ユニットの初回イベントコミュ「Straylight.run」「天塵」「OO-ct. ───ノー・カラット」を考えると,それぞれのイベントコミュにおいて,「友情」「努力」「勝利」の一要素が欠如しているということに気が付きましたので,この場で共有・解説したいと思います。

 また,よくシャニマスでのイベントシナリオは色々な形で「他のアイドルゲームとは違う」という風に言われることが多いです。この知見はそのように我々が感じることの説明要因の一つともなると考えています。

 

 「Straylight.run」

【なるんじゃん?】和泉愛依

 「Straylight.run」はストレイライト結成のコミュであり,非常に良いコミュですので,まだ読んでいない方がいればぜひ読んでください。

 さて,この話では,主にあさひと冬優子の対比・対立を中心に展開していきます。

 自分を愛してもらうため,彼女の理想の女の子「ふゆ」を追い求める冬優子と,自分の好奇心に任せて自然体で振る舞い,それでも愛してもらえるあさひが対比され,話は「海辺のアイドルバトル」で最終話を迎えます。

 ここであさひは,採点のおかしさを把握するために前のアイドルのダンスを完全にコピーしてパフォーマンスをしますが,そのような破天荒な行動は観客から評価されません。そして冬優子があさひと愛依のことを呼び捨てで呼び,プロデューサーと話すときのような強気な口調で「アイドルが戦うってのがどういうことか,見せてやる」と二人に言い放ちます。

 さて,ここのシーンを整理してみましょう。

 今まで冬優子よりも評価されてきたあさひが,その「純粋さ」のようなものが評価されない環境に直面します。一方で愛されるための努力を欠かさず,どうすれば高く評価されるかを考えることが出来る冬優子はこのような場に向いています。つまり,今まで評価されてこなかった彼女の「努力」が発揮されるシチュエーションが整ったわけです。

 また,冬優子が二人の前で「ふゆ」でいるのを止めて今まで隠してきた側面を二人に見せ,あさひに今まで隠してきた思いをぶつけます。これは「あんな子とユニット組むならひとりでやった方が絶対にマシ……!」と言って本音を隠してきた冬優子が二人をユニットの仲間として認めたという熱い「友情」のシーンであるともいえます。

 しかし,エンディングで冬優子は他のアイドルに敗北します。これは「勝利」の欠如です。先ほどの例で言うなら,「ナメック星に修行の末着いた悟空がクリリンの死で超サイヤ人になるものの,普通にフリーザにやられる」というような展開になっています。これは「王道」のフィクションのオチからは少し外れています。普通の展開であれば,ここで観客が冬優子のパフォーマンスに魅了されるなりスポンサーの悪事が明るみに出されるなりの形でストレイライトが勝利する,というのは「友情・努力・勝利」のマニュアル通りの展開だと言えるでしょう。

 しかしここであえてその「王道」から外すことによってシナリオ全体に「わびさび」のような読後感を与え,いい効果を生んでいるように思えます。ここにこのシナリオの異質さが存在しているでしょう。

 

「天塵」

【游魚】樋口円香

 さて,次は「天塵」の話をしていきます。

 今回はもう先に述べてしまいますが,「天塵」においては話全体として「努力」の欠如が起きています。

 もちろん彼女たちは「練習をしていない」というわけではありません。序盤にもユニット全体で練習をしていますし,小糸や円香は自主練習をするシーンもあります。しかし,その行動は他のユニットのものとは異なって明確な目標や意思が存在していません。嚙み砕いて言うなら,「何となくやっている」練習であるということです。

 その理由の一つに,ノクチルというユニットは「アイドルに対する動機がない」という点があります。 (もっとも今はそれの芽生えが描かれているのですが…)

イベントシナリオ「海へ出るつもりじゃなかったし」より引用

 プロデューサーなら自分の人生を変えてくれるかもしれないと感じた透,走り出した透に着いてきた円香と雛菜と小糸,この4人の行動理念や目的は,アイドル活動と結びついてはいません。もっと言うなら,彼女たちはアイドルになりたくてアイドルになったわけではないのです。

 そのような「なんとなく」の練習は「友情・努力・勝利」で言われるような「努力」とは一線を画します。だからこそ彼女たちは躊躇いなく自分たちのパフォーマンスの場を壊しますし,自分たちのステージが誰にも見られていなくても気にせず海に飛び込んでいきます。それは,彼女たちに「目的のために費やしてきた時間や思い(=努力)」がなかったからです。そしてそのような姿やシナリオの構成は,「友情・努力・勝利」を旨としていた従来のアイドルストーリーから考えるとまさに異質ですし,実装当初はいい意味でも悪い意味でも話題を呼んでいましたね。

 

 「OO-ct.  ──ノー・カラット」

【RESONANCE】緋田美琴

 最後に「ノー・カラット」の話をしていきます。

 ここまでの流れから分かる通り,SHHisには「友情」の欠如が起きています。モノラル・ダイアローグスを踏まえた言い方をするなら「対話」が欠如していると言った方が適切でしょうか。

 シナリオの前半では,にちかは美琴から関心を得られていない(認めてもらえていない)ことに苦悩します。

 ノーカラットの話を掘り下げるとこれまた長くなるのである程度で抑えますが,「アイドルに仲良しごっこはいらない」「パフォーマンスを磨くことだけを考える」「いいステージを創るためなら危険なことでも厭わない(リフターの上でペンシルターン)」というような美琴の姿は,「アイドル」としての絶対的な正しさを持っています。

 だからこそ,にちかはそんな理想的な「アイドル」である美琴に認めてもらえないことに苦しみますし,自分の意見を言うことが出来ません。

 そんなにちかが美琴のパフォーマンスに意見したといえる初めてシーンこそが,リハーサルでリフターから落下したシーンなのです。ここで初めてにちかは美琴にユニットの仲間として意見を(言葉では出てこなかったが行動で)伝え,アイドルとして対等な目線に立ったころで,美琴の目ににちかが映ったのです。

 そしてその後,にちかと美琴は二人でレッスンを始め,対話を始めます。

 それが終わって,「アイドルとして高みを目指し続ける」という目標を再確認したのちににちかは「仲良しとか,いらないから」と言います。

 確かにここでは「仲良しがいらない」とは言っていますが,実際のところここのシーンでは二人の間に「友情」が生まれたと言えると思います。

 ここで,「友情」という言葉について確認しておきたいのですが,必ずしも「仲良し」であるということが「友情」の条件とは限りません。例えばバトル漫画では,敵同士で殺し合いをしていたとしてもお互いのことを認め合うというような関係性は良くあります。

 つまり,フィクションで感情を動かすような「友情」とは,純粋な仲の良さではなく,「互いにに向けられている感情の大きさや関心の程度」のことを指すのではないかと私は思います。 

 その点では,ここで美琴がにちかのことをユニットのメンバーとして認め,一緒ににちかの思い出の曲である「ホーム・スイート・ホーム」を弾くというのは,十分に「友情」のシーンであると言えます。

 しかしここで終わらないのがノー・カラットです。最後のシーンでにちかにばかりバラエティーの仕事が集中し,二人の立場やアイドルとしての仕事や忙しさは乖離していくことが示唆されます。最後のセリフで美琴は「ここを上がった時のために,すべてがある」と言い,にちかは「ここをあがったら,一人になる」と言います。これはノーカラットの一番最初のシーンと同じセリフであり,そのセリフをもう一度最後に繰り返すことで,結局二人は何も変わってないし,その価値観はずれたまま,二人はすれ違いを続けるということを暗示しています。

 ここで二人がアイドルとして向かうところを一つにし,これから頑張っていくぞ!というようなシナリオであれば,むしろそれは,「友情」を手に入れるという,王道のストーリーになってしまいます。最後に「友情」の喪失を示した点にこそ,ノーカラットのストーリーの異質さが表れているでしょう。

 

まとめ

 シャニマスのシナリオが「普通のアイドルゲームのシナリオとは違う!」というようなことはよく言われています。それがどのように違うのかということを,今回は「友情・努力・勝利」という王道の三要素から逆説的に考えることで示せたのではないかと思います。

 追加された三つのユニットがちょうど「友情・努力・勝利」に対応していることを考えると,もしかするとユニットデザインの時点で考えられていたのかもしれないですね。

 かなり面白い発見が出来たのではないかと考えています。最後までご覧いただきありがとうございました。

カラオケで歌えるシャニマス曲が100曲に達したので100曲斬りをしようとした話

 この記事は298production Advent Calendar 2022の1日目の記事です。

 

 こんにちは。たくや(パルデアのすがた)です。

 最近ぬるっと298プロの会長になりました。一年間よろしくお願いします。

 

 さて,いきなりですが皆さんは我々がなぜこのようなアドベントカレンダー企画をしているかご存じですか?

 

 私も最近初めて知ったのですが,元々は「会員の皆さんのアイマス以外の趣味を共有する」ための企画として立ち上げられたそうです。

 ですから記事の内容がアイマスに全く関係なくとも構わないそうです。もし記事を書いてみたい会員の方がいたら,まだ全然枠が余っているのでどしどし申請を入れてください。

298production Advent Calendar 2022 - Adventar

 

 では,私の趣味は皆さんご存じでしょうか。

 それはズバリ「カラオケ」ですね。

 そんな「カラオケ」×「シャニマス」の話を今回しようと思います。

 さて皆さんは,先日カラオケDAMに入ってるシャニマス曲の合計が100曲になったことをご存知でしょうか。

   

 今DAMには「Fashionable」「Bouncy Girl」「デビ太郎のうた」「絶対正義EVERY DAY」「283体操」「シャイニーエクササイズ」を除くすべてのシャニマスの曲が入っているのです!

 なんてすごいことなんでしょう…。

 そして今回「アスファルトを鳴らして」で合計100曲に到達したことは非常にめでたいですね! これは私もこれを記念した企画をやりたい!ということで一つ企画を思いつきました。

 

 それが「シャニマス100曲斬り」です。

 内容は単純,カラオケに行って「Spread the Wings!!」から「アスファルトを鳴らして」の100曲を歌いきってこようという企画です。

 もちろんただ100曲歌うだけでは面白くありませんし,張り合いもありません。なにより「100曲斬り」の名にもふさわしくないでしょう。

 

 そこで,すべての曲で90点以上をとってこようと思います。一応シャニマスの曲であれば全て聞きこんではいるので,カラオケマニアの私としては,まあ頑張って歌えばいけるか,といった感じの難易度です。

 

 そんなわけで本日(11月30日)カラオケに行ってきましたので,その時の様子をご紹介します。

 

 また,カラオケに人生を破壊されている者として,私の普段のカラオケの様子や90点以上をコンスタントにとるコツ,今回の100曲斬りのポイントなども伝授したいと思います。よろしくお願いします。

※私がここで唱えるカラオケのコツは90%くらいが主観なので,過度に信用しないようにお願いします…

 

 事前準備

 まずは事前準備から始めましょう。カラオケに行くために用意しなくてはならないものとは,いったい何でしょうか?

 こんなときは,シャニマスに置き換えて考えてみましょう。

 シャニマスのSTEP育成に必要なものはなんでしょうか?

 

 …そう。「持ち込みアイテム」「ノウハウブック」そして「強いサポートカード」ですね? カラオケの場合もほとんど同じです。

 まず持ち込みアイテムから用意しましょう。

 これがカラオケ界の「高級ヒーリングフルーツタルト」です。大体一袋200円くらいですね。私はこれを常に口に含んだ状態で歌っています。

 

 加えて,STEPの持ち込みと言えばサポアイドルの絆をアップさせる,タオルやTシャツ系のアイテムを持っていくことがよくありますよね。

 しかしカラオケにおいては,Pアイドルである我々をサポートしてくれる存在などどこにもいないのです。よって,タオルやTシャツも不要です。

 

 もちろんテンションアロマや予定変更付箋もカラオケには不要です。クソの役にもたたないでしょ常識的に考えて。

 

 

 つづけて必要なのは「ノウハウブック」ですね。

 これはつまり,「自分がうまくいった履歴などが記載されている情報」ということです。

 カラオケにおけるノウハウブックは,この「精密集計DX/DX-G/Ai」というサイトです。

  精密集計DX-G | 精密採点DX-G攻略ツール (clubdam.info)

 このサイトに登録することで,過去に自分が歌った曲の得点や評価グラフなどをいつでも確認することが出来ます。カラオケによく行くのであれば登録しておくのがおすすめです。

 

 そして最後に「強いサポートカード」です。

 STEP育成においてトップクラスに重要なこのアイテムは,前述のとおりカラオケには不要です。まあ強いて言うならボイストレーナーでも連れて行って指導してもらいながらカラオケをするのであれば,それは強いサポートカードなのかもしれませんが,それでは歌うことを心から楽しむことは出来ないと思うので私は遠慮しておきます。

 

 つまりまとめると,「高級ヒーリングフルーツタルト」と「精密集計」を準備しておけばとりあえずカラオケのスコアアタック的にはOKだと思います。

 あとは歌う曲を事前によく聞いておきましょう。

 

 100曲斬りのポイント

 

 さて,ここから100曲斬りの戦略を紹介していきます。

 もしカラオケや採点に興味がなかったら,ここは読み飛ばして大丈夫です。

 

 今回の100曲斬りのポイントですが,それは「いかにいい点を取りすぎないか」という点です。

 私はあまりカラオケの仕様についてあまり詳しく調べたことがないのであまり詳しくないのですが,カラオケはでけえ声だせばいい点が出ます。

 具体的に言うと,採点では音程や抑揚の得点が重視されるので,でけえ声をだして抑揚をつけた方がいい点が出ます。つまり90点以上をコンスタントにとるコツの一つは「声の大小の濃淡をはっきりつけろ!」ということですね。

 シャニマスの曲で言うと「Dye the sky.」や「Killer×Mission」などは,比較的短い区間で声の大小が変わってくるので,表現力という点ではかなり取りやすいです。

 

 しかし,100曲を歌うということを現実的に考えると,でけえ声を出し続けるのはあまり現実的ではありません。7時間くらい歌いっぱなしになる計算ですからね。

 ですから,できるだけ音程や「ビブラート・ロングトーン」で点を稼ぎ,90点すれすれをとり続けることで成功に近づいていきたいですね。

 

 次に音程についても言及したいのですが,私もどうすれば音程が合うようになるかは分からないです…。

 私の場合はひたすらカラオケに行き続けていたらだんだんと音程が安定するようになりました。また,シャニマスの曲を狂ったように聞いていたので,スピーカーから聞こえてくる自分の音程のずれが何となく分かるようになって音程が安定しました。

 ただこれに関しては音感のようなものもかかわってくるので,一般的なアドバイスはちょっとできないですね…。

 私から言える90点以上をとるコツは「原曲を聞いて聞いて聞きまくれ!」ということでしょうか。

 

 それでは次から実践編に入ってきます。

 

 シャニマス100曲斬り~一年目~

 

 というわけで始めていきます。

 まずは「Spread the Wings!!」から「Let‘s get a chance」までの12曲です。

 ちなみにそういいながら画面で全13曲になっていますが,それは私がSWEET♡STEPを一年目の曲だと今日の今日まで勘違いしていたからです。笑えますね。

 

 一年目の曲で注意すべきシャニマス楽曲特記戦力」は,特にはありません。

 

 まだ喉があったまっていないので無理をせずに,発声練習を兼ねるつもりでのびのび歌いました!

 

 シャニマス100曲斬り~二年目~

 

 次は二年目です。撮影タイミングのミスで「Ambitious Eve」と「FUTURITY SMILE」が抜けてしまっていますが,ちゃんと歌いました。記事の最後に証明として「精密集計」のデータを載せておきます。

 さて,二年目はシャニマス楽曲特記戦力」が二曲存在します。

 

シャニマス楽曲特記戦力」その一 トライアングル

 記念すべき特記戦力一曲目は,トライアングルです。

 え?そうなの?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが,マジです。

 トライアングルは,確かにメロディーラインは簡単なんですが,全体的にしっとりめの曲ですので,どうしても原曲の雰囲気を意識して終始しっとり歌っていると,抑揚がつかなくなります。また,これは私の事情なんですが,このCD持ってないんですよね…

 音源をあまり聞いたことがないというのは非常に厳しいです。また,抑揚を意識してつけないとあまり点が伸びないので,油断しているとやられてしまいます。

 まあそのことに気が付いたのは歌い終わった後だったんですが…。

 

シャニマス楽曲特記戦力」その二 よりみちサンセット

 はい。本企画においてそびえたつ鬼激ヤバ曲の一つがこれです。

  ここがヤバいよ!よりみちサンセット

     その① 曲の雰囲気を汲んでると抑揚つけにくい

     その② ビーチブレイバーの後だと疲れが隠し切れない

     その③ ラップを歌わせるな!!!!!!!!!!

 これがよりみちサンセットのやばいところです。多分この曲に関してはちゃんと練習しなきゃダメでしたね…。

 「うーんいい曲やこれは...(笑)」とか思って歌ってると後ろから一刀両断されます。

 皆さんが100曲斬りをするときはこの曲に十分注意をしてください。

 

 はい。完全にやられましたね。

 トライアングルに関してはまだ「はわわ!油断しちゃった💦」で許される得点ではありますが,よりみちに関してはもはや言い訳が効かないですからね…。なんだこのリズムは…。

 

 90点を越えなかった曲に関しては最後に歌い直すつもりなので,とりあえずは先に進んでいきます。

 

 シャニマス100曲斬り~三年目前半~

 さて,少し考えればわかるかもしれませんが,100曲斬りは3年目が山場です。なぜならソロ曲があるからですね。通常の3倍ほどの長さがあります。

 そんな三年目を乗り切るにあたって,私も体力を回復させないといけません。

 ここはおやすみを選択します。

 うおおおおおおおお!ここでめぐる,夏葉,冬優子,霧子,甜花,灯織からのお休みブーストが発動しました!!!!!!!!!!!!!!なんということだ!!!!!!

 はい。これこそがヒトカラの真骨頂,あにそんボーカルです。

 JOYSOUNDのことはよくわからないですが,DAMには「声優が歌っている歌を聴く」ための楽曲が入っています。(まあ多分本来は一緒に歌うモードなのですが,そんなことは恐れ多くてできないですし,採点もつかないんで…)

 これで休憩中も声優の歌を聴くことで休憩効果が倍増しました!いつでもいけます。

 

 まずは「シャイノグラフィ」から「星をめざして」までの21曲を歌っていきます。

 ちなみにDAMでは予約件数に入る曲数の上限が15曲になっています。

 この範囲におけるシャニマス楽曲特記戦力」はこの曲です。

 

シャニマス楽曲特記戦力」その三 Anniversary

 

 特記戦力の3曲目は「Anniversary」です。

 実際バラード自体については,ビブラート・ロングトーンが安定していれば点数を取ること自体は難しくないです。

 しかし,めちゃくちゃ疲れます。ましてやAnniversaryなんてどう歌っても手に力がこもってしまうので,この曲を乗り越えたとしても確実に喉にダメージが加算されるという,非常に厄介な的です。しかも超長い。この厄介さはシャニマス楽曲特記戦力界の兵主部一兵衛といっても過言ではないです。

    

 

シャニマス楽曲特記戦力」その四 いつだって僕らは

 特記戦力の4曲目は「いつだって僕らは」です。

 この曲は高低音の幅がめちゃくちゃ広くて厄介です。もちろん抑揚もつけやすく,最初の曲ということで聞きこんでいるので難しくはないのですが,かなり体力が持っていかれますね。特にラスサビでは「昨日よりもっと」からもう一度サビに入るので非常に大変な一曲になっています。

 

 「え?五ツ座流星群とか純白トロイメライは入ってないの?」と思う方がいらっしゃるかもしれません。

 確かに五ツ座はラップというかセリフパートがありますが,採点部分の占める割合はそこまで多くないです。また,抑揚もつけやすいのでそこまで点自体はそれなりに出ると思います。むしろノリノリで楽しく歌える部類ですね。

 純白は,確かにシャニマス楽曲の中では屈指の難曲として扱われることが多いですが,それは表現力であったりリズムの問題だったりなので,よく聞きこんでおけばカラオケにおいてはそこまで問題になりません。

 

 シャニマス100曲斬り~三年目後半~

 三年目後半は「プラニスフィア」から「SOLAR WAY」までの19曲です。

 さて,ここで大体開始から4時間半ほどが経過しているのですが,ここら辺からめまいと手足・顔のしびれがひどくなってきました。どうやらこれは酸欠の症状だったらしいですね。歌ってる最中に倒れそうになってしまったので,普段は立って歌うのですが,ここからは座って歌うことにします。

 

 Stellaの曲は,全体を通してかなり難しい曲があるわけではないのですが,アップテンポな曲かロングトーン多めのバラードかみたいなところがあるので,一気に歌っているとこうなってしまうのかもしれません。

 

 そんな話はさておき,ここから特記戦力を解説していきたいのですが,はっきり言います。この区画が一番きつかったです。

 Lunaの曲もSolの曲もかなり独特なメロディーだったりリズムだったりで,普通に体力を持っていかれるんですよね…。

 この区画の特記戦力を紹介していきます。この区画には5曲の特記戦力があります。多すぎる。

   



 

シャニマス楽曲特記戦力」その五 常咲の庭

 特記戦力の5曲目は「常咲の庭」です。

 この曲はリズムや間の取り方が非常に独特なのでかなり歌いずらいです。

 加えてこの曲の歌い方が,かなりブレス混じりな発声をしてるんですね。

 「風 嗚呼 風 嗚呼」のところや「ha ha 春夏」のところなどが分かりやすいのですが,他にも全体的に息を使うところが多く,既に長く歌った後だと結構体力を持っていかれます。

 

シャニマス楽曲特記戦力」その六 スローモーション

 特記戦力の6曲目は「スローモーション」です。

 この曲もバラードで体力を持っていかれますし,なによりね,エモい曲なんですよ

 この100曲斬りのポイントはいかに一曲一曲を楽に歌うかという点なので,感情を込めすぎてしまうと体力は減るし得点はオーバーキルになるしでいいことがありません。

 そんな中どうしても私の「熱唱したい欲」を喚起してくるこの楽曲は難敵です。

 

 さて,続けてSolの特記戦力を紹介したいのですが,ここにきてシャニマス特記戦力界の黒崎一護ともいえる,カラオケにおける最恐の楽曲があるのですが,皆さん誰の楽曲か分かりますか?

 誰かな?誰かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 はい。メグル・ハチミヤさんです。

 彼女はアメリカ人の母と日本人の父を持つハーフですし,部屋にはコンのぬいぐるみまであるので実質黒崎一護といっても過言ではありません。

 そんな彼女,黒崎一護もとい八宮めぐるさんの最恐楽曲,「HAREBARE‼」について解説していきます。

 

シャニマス楽曲特記戦力」筆頭 HAREBARE‼

 この曲のヤバさは大きく分けて二つあります。

 一つは「ラップ・セリフパート」です。

 「めぐるめぐる季節 夢が降り積もる」のAメロの部分と「ハレバレ!フレフレ ガンバレ!」のCメロ部分ですね。この部分はメロディーラインが分かりにくいので,音程を完璧に合わせるのはほとんど不可能です。

 加えて,これが一番大きな問題なんですが,まあ…その…ね,成人した男性が5時間半もカラオケボックスにいた後に一人で「ハレ!バレ!フレフレ!ガンバレ!」とか高い声で叫ぶの,普通に空しいんですよね…。

帰りたい…

 そして二つ目の問題なんですが,前奏,一番と二番の間奏の部分の「ハレバレ!ガンバレ!キミなら出来る!」の部分も歌唱パートになっているという点です。

 そのせいで,曲全体を通して休むパートが非常に少ないです。それが私の疲れと酸欠を加速させ,ここら辺がしびれとめまいのピークでした。

 めぐるの活発さなどがよく表れたいい曲なのですが,私は八宮めぐるではないので非常に大変でした…。

 また,ロングトーンの部分が非常に少ないのでそこの加点が稼げないのも厳しいです。

 

シャニマス楽曲特記戦力」その八 Damascus Cocktail

 特記戦力の8曲目は「Damascus Cocktail」です。

 この曲はサビがとにかくレベル高いですね。

 メロディーラインが上昇なのに対して息継ぎの時間が短く,歌いきるだけでも一苦労です。加えてラスサビではそこが繰り返しになるので,難易度が高いシャニマス曲の一つであると言えます。

 加えて,歌詞をハメるのも少し難しいです。「Soul of an emerald」や「La Buena Vista」「It`s like a bloody mary」「花は枝葉が咲かせることを」などは,事前に歌詞をしっかりと把握しておく必要があるでしょう。

 

シャニマス楽曲特記戦力」その九 SOLAR WAY

 特記戦力の9曲目は「SOLAR WAY」です。

 この曲は,まあ取り立てて曲自体が難しい…というわけではないのですが,私がどちゃくそ振りコピをしてしまうので,かなり体力を持っていかれてしまいます。他の曲であればそこまでいろんな場所を振りコピはしないのでそこまで疲れないのですが,この曲は個人的に印象的な部分が多いので,曲全体を通じて一曲踊ったかのような運動量になってしまいます。正直体力的にはこの曲が一番持っていかれます。

 

 というかSolの曲は全体を通じてもかなり難しい曲や体力を持ってかれる曲が多くて大変でした。

 低音の部分が非常に多い「千夜アリア」,所々にトリッキーな部分があり,油断ができない「あおぞらサイダー」,活動量が多く体力消費が激しい「過純性ブリーチ」,曲全体の音程の高低差が激しい「statice」,リズムや入りのタイミングに聴きこみの練度が問われる「Darling you!」,TikTocで流行っている「SOS」など,まさに魑魅魍魎といった感じですね。

 酸欠セリフパート曲には手を出しちゃダメ!怖すぎるよー!!!(偽めぐる)

 

 シャニマス100曲斬り~四年目~

 開始から6時間が経過し,フロントで2時間の延長を頼んできましたが私は元気です。

 4年目の曲を入れているうちに10分くらい休憩が出来たので,酸欠については治ってきました。休んだ時間を加味しても5時間半くらいは力を入れて歌っているはずなので,かなり喉には負担がかかっているはずなのですが,なぜか喉が枯れている感じもしないし,点数の減少も緩やかです。

 多分大声を出していることによるアドレナリンにより正しい体性感覚を失っている状態だったのではないかと推察できます。正気を取り戻す前にさっさと終わらせましょう。

 この区画での特記戦力を紹介します。

 

シャニマス楽曲特記戦力」その十 Resonance+

 特記戦力の10曲目は「Resonance+」です。

 この曲もサビが非常に大変で,原曲では「精一杯の声で (最高の笑顔で) 空を描いていくよ (ここで光るよ)」と,交互に二つのパートが歌う部分になるのですが,カラオケでは括弧に入っている部分は歌わない,つまりこの部分はロングトーンが2回ということになります。

 またResonance+は,サビの繰り返しが多く,またそれ以外の場所でもロングトーンが多いうえに,その音も比較的高いので,ガンガン喉が削られていきます。

 

シャニマス楽曲特記戦力」その十一 Timeless Shooting Star

  特記戦力の11曲目は「Timeless Shooting Star」です。

  この曲は音程ムズ曲で,Aメロはめちゃくちゃ低くて音程取りずらいし,サビ入りの「駆け抜けろ!」をビタ当てするのはかなり難しいしで難しめです。その分抑揚がつけやすいのでそこでカバーできますが,その分喉と体力は削られていきます。

 

 

 次の特記戦力を説明しなくてはならないのですが,ここで悲しいお知らせです。

 

 えー高音が出せなくなりました。

 厳密には,高音を出すことはできるのですが,それをすると喉に鋭い痛みが走る体になってしまいました。

 では高音のパートを歌わずに乗り切ろうとしたのですが,その結果がこちらです。

 90点を全く越せません。

 喉が痛くないように歌うというのはすなわち抑揚を捨てるということを意味するのでそれ以外の要素で挽回しなくてはならないのですが,喉の疲労がここまでたまっている時点で,もうジリ貧になってしまうのは目に見えています。

 

 うん,まあ…。なんでしょう…。

 

   

 帰ります。

 すみません。帰ります。私も歌うことが好きでここで無理をして二度と歌えない体になるのはちょっと本気で嫌なので帰ります。

 

 結局滞在時間は7時間ほどで,歌えた楽曲はちょうど80曲,そのうち未達成が5曲となりました。このような残念な結果になったのは悲しいですが,また機会があれば挑戦したいと思います。

 

 一応以下で「精密集計DX-G」で80曲歌った証明を貼っておきたいと思います。

 

   結論:100曲って本当にすごい

 それではみなさん,よきカラオケライフを!

 

 

良シーン・セリフで振り返るアイドルマスターシャイニーカラーズ2021

 今回は年の瀬ということで「良シーン・セリフで振り返るアイドルマスターシャイニーカラーズ2021」をやっていきます。

 この記事は298production Advent Calendar 2021 - Adventarの11日目の記事です。

 前回の記事はこちらです。

ryuu-1224.hatenablog.com

 今年もシャニマスでは様々なイベントコミュが登場し、キャラごとのシナリオも増えました。そこで私見で選んだ良シーン・セリフを時系列順に振り返っていこうと思います。

 今回はイベコミュ・プロデュースコミュなどのいつでもだれでも見ることのできるコミュから選抜しました。また、少ない画像で文脈や意味が伝わりずらいものやある程度簡潔に収まっていないものは除外し、普遍的な問いかけやテーマ性や深さを持つものを中心に選びました。

 *割と一つ一つが長いです。まとめ力がなかった・・・

 

海へ出るつもりじゃなかったし(1月1日)

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 ノクチルに生を説くプロデューサー
 これがアイドル育成ゲームなのか・・・

 ノクチル自体が「アイドル」になることに積極的ではなく、今まではそれでもいいというユニットであったのに対して新たな道を示したワンシーンでした。

 この「海へ出るつもりじゃなかったし」というコミュ自体がノクチルの「変化」を明確に描くコミュでしたし、それはこのシーンによく描かれています。

 私自身シャニマス歴はノクチルと同期なので、その変化を生で追えたことが嬉しいです。

 

The Straylight(1月31日)

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 常に胸に留めておきたい一言

 「The Straylight」は、二面性をもつ(実生活とは違う姿をとる「偽物の」)ストレイライトの三人が自分たちの「偽物」と自分たちを比べるというようなシナリオになっています。(クソざっくり説明)過去を振り返る中でその過去を肯定する冬優子のシーンです。

 ちなみにめちゃめちゃいいシナリオだし、めいふゆの朝チュンも見れます

 

World×Code (4月1日)

 

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 は?

 エイプリルフールイベントです。

 81種類のIFストーリーがなんと無料で見れます。ライターがめちゃくちゃやっている印象が超強いですが、笑いあり涙ありの素晴らしい時間が過ごせること間違いなしです。面白いIFストーリーの非常に断片的な部分だけが切り抜かれてるんですが、非常に想像が膨らむシーンが多いです。ちなみに全部読むとめちゃくちゃ時間かかります。是非。

 ビルの上で×悪の怪人×敵対 とか絶対全人類好きでしょう。

 

にちかW.I.N.G(4月5日)

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 全体的に驚愕のコミュ

 七草にちかとかいうやばいアイドルが実装されたのはWorld×Codeの直後でした。エイプリルフールのネタかと思いましたよ最初は

 正直ここでにちかWINGについて語るのは時間も紙幅も足りないので省略しますが、割と様々な解釈があったり、他のコミュが増えていくにつれ見方も変わってくるコミュです。 

 このシーンはにちかと八雲なみが類比になっているだけではなく、シャニPと天井社長が対比になっているのも面白いです。

 また、「七草にちか」というアイドルの最終目標は「トップアイドル」ではなく「幸せ」だということを示したシーンでもあります。にちかはアイドル育成ゲームの枠には縛られないのですよ。

 

美琴W.I.N.G(4月8日)

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 隠れやばいアイドル
 実装当初はにちかの陰に隠れがちでしたが最近は再評価の風潮があります。

 美琴は誰よりも「アイドル」であることを求めていながら一番「アイドル」とは遠い存在になっているのが非常に面白いです。そこについては様々な要素があるのですが、 ぜひ考察してみてください。

 上のシーンは、ただ美琴が心の深いところを吐露するシーンというだけではなく、プレイヤー側や業界全体への皮肉にも聞こえますね。このようなテーマ性はシーズにも引き継がれています。

 

 透G.R.A.D(4月20日

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 未読の人は意味が理解できるでしょうか。

 このシーンは透とアイドルというものが繋がっていくシーンであり、透G.R.A.Dの集大成のようなシーンになっています。

 私も初めて読んだときは頭を抱えましたとも、ええ。透はキャラや顔がいいだけではなくでコミュもいいですからぜひ読みましょう。

 透自身のコミュのテーマとして「人生」「命」というものがあります。それはW.I.N.G編からずっと続いていて、人生イージーモードのように見える透が「生きる」とは何か、自分は何がしたいのかというようなことを考えていくストーリーになっているわけですねぇ。

 財布ないわとか頭ジャングルジムとかを無限にこすっている懐古厨は一度彼女の軌跡を追ってみましょう。

 

アンカーボルトソング(5月31日)

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 アルストロメリア最強!!!!!!!!!!!!!!!!

 非常に深いテーマであり、非常に考えさせられる言葉です。

 アルストロメリアがどんどん変わっていくのに対し、寂しさを感じるファンやメンバー自身へどう向き合っていくのか、というのが「アンカーボルトソング」の大まかなテーマです。

 「未来への憧れ」を標榜するアルストロメリアが過去にとらわれてしまい、それを克服していくという素晴らしいコミュでした。また、私たちの生活や価値観への示唆にも富んでいます。

 ちなみに今NARUさんのカラオケツイキャス配信を作業用BGMにしてるのですが、アンカーボルトソングについて書いているこのタイミングで「Anniversary」「Bloomy」を歌っています。激熱ですね。

 

咲耶Landing Point(6月11日)

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 めっちゃシャニPがかっこいい

 咲耶はモデルを辞めてアイドルになり、「私を中心に世界を回した」わけですが、そのような過程で自分から離れていった人々の期待にさえも応えようとします。自分に様々な姿が求められ、「綺麗なお姫様に」「かっこいい王子様に」「愉快な人気者に」「孤高の咲耶様に」なろうとします。

 そんな咲耶の姿をシャニPは「最高のアイドル」だと考えるわけですね。最高です。

 ちなみにエンディングもめちゃくちゃいいので見てください。

 

霧子Landing Point(6月11日)

 

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 あなたの考える「霧子」はなんですか?という話

 霧子をモデルとした、AlexaやSiriのようなコミュニケーションロボットである「霧ちゃん」をつくろうという話です(製品化はよ)。

 霧子のLanding Pointは、霧ちゃんという「もう一人の霧子」の製造に霧子自身が協力することによって「霧子」を探すというストーリーです。シャニマスがよくテーマとして取り上げる「見られる側としてのアイドル」という構図ですが、今回は特にそのテーマに切り込んで行く話でした(激ウマ)めちゃめちゃ考えさせられる話だと思います。是非読んでくれ・・・

 霧ちゃんは社会現象になりそう

OO-ct. ──ノー・カラット(6月30日)

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 このシーン好きすぎてめっちゃ画像多くなっちゃったンゴ・・・

 コマの大会のような、物理的な量や強さが問われる戦いでは勝敗は実力で決まるでしょう。それではアイドルの世界ではどうなんでしょうか。たとえ美琴のように質の高いパフォーマンスをしていても「想い」みたいなものに簡単に敗北してしまうこともあります。

 そして今までのシャニマスの話、というか他のアイドル作品やフィクションであっても、「想いの輝き」が「勝つための努力」を吹き飛ばすような展開が称賛されてきたのではないでしょうか。しかしその裏で敗北を重ねてきたアイドルが今回のテーマなのです。

 マジでノーカラットはとりあえず読んで

 

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 ノーカラット好きすぎて思わず二つ目のエントリーを果たした

 にちかがアイドルになったことでの苦悩を美琴に打ち明け、邪魔をしてしまっていると自虐的に謝るようなことを言います。

 アイドルだったらここでなんと答えるのが正解なのでしょうか。そんなことはないと励ますのでしょうか。二人で秘密の特訓をしようと胸アツ展開の修行パートに持ち込むのでしょうか。にちかなりのいいところを発見してユニットのレベルを上げるのでしょうか。

 しかし美琴はそうはせず、(今まで美琴がそうだったように)ただ練習することを求めます。そしてにちかにただ「アイドル」であることを求めます。それは美琴が誰よりも「アイドル」であるからで、美琴がにちかを救うわけでも励ますわけでも、ましてや友達でもない、ただのユニットメンバーだからでしょう。

 それは論理的には当たり前のことなのですが、初めてこのシーンを見た時は衝撃を受けました。うまく言語化ができたとは思ってませんが、私が今まで見てきた「アイドル」とは異なる異質さを感じるシーンでした。この突き放されたことに対してにちかはショックを受けるでもなく、静かに決心を固めたのも素晴らしいと思います。

 とにかくノーカラット読んでくれ・・・

甘奈Landing Point(8月10日)

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 強い女だ・・・

 甘奈がファッションコンテストに応募しても採用されず、映画では表現力の不足でシーンがカットされ、打ちのめされてしまうという話です(クソざっくり)

 過去に失敗したことに対してどう対応するかというのは非常に難しい問題で、それを忘れてしまうことやいつまでも引きずっていることは非常に簡単で、大抵の人はそうなってしまいがちですよね。しかしここで甘奈はその過去に向き合い、その時の自分を受け入れ、自分に刻み付けたのでした。

 客観的に見て面白かったり、響くようなシーンかは分かりませんが、自分はめっちゃ☆好きなセリフです。

冬優子Landing Point(9月10日)

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 どちゃくそかっこいいセリフ

 ユニット初の単独ライブが決定したことで冬優子はめちゃくちゃ浮かれてそればっかりに集中するようになります。しかしそんなある日なんて事のないオーディションに足元をすくわれてしまいます。

 そんな状況に一番ふがいなさを感じているのは冬優子自身であり、涙を流しそうになりますが、そのような被害者面は冬優子自身が許しません。そんな男気を持っているのも冬優子の魅力の一つですね。

 ここマジで幸村さんの演技もやばかった

透Landing Point(11月10日)

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 こいつ透大好きかよ

 ↑好きです。

 このストーリーについては正直ここでは書ききれないので割愛します。めちゃめちゃ完成度の高い話だから絶対読んでください(透GRADは準必修です)

 透は観客やステージ、カメラまでもを魅了するカリスマ性を持っていますが、だからこそ透自身はすべてを魅了する快感を忘れられないのです。透が何かを魅了することで(捕食することで)命の輝きを感じ続ける。浅倉透は(GRAD編での結論を否定するような内容ですが)天性の捕食者だったのです。

 多分コミュ未履修だと何言っているか分かんないと思うんですけど、ぜひ読んでください。透は変化し続けています。

 あと浅倉透というフォーマットでここまで感情なり比喩なりを表現をする和久井さんがすごいという

SHHis感謝祭(11月30日)

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 SHHis最強!SHHis最強!SHHis最強!SHHis最強!SHHis最強!SHHis最強!

 今回もストーリーは複雑なので省略します。読んで読んで。ルカもめちゃくちゃ出てきます。

 シーズの話は「アイドル」というのがテーマになっているものが多いですが、やはり誰よりも「アイドル」であろうとするゆえに「アイドル」ではなくなっていくというのが非常に面白いです。アイドルになる気がないのに自然とアイドルに惹かれていき、アイドルになっている透やノクチルとは正反対ですね。感謝祭前のコミュではどのユニットも円陣を組むのは知られていますよね。シーズの場合はどのようなことをするのでしょう。それは君の目で確かめてみてくれ!

 この感謝祭では様々な所に伏線がちりばめているような気がしますし、次回のコミュにエネルギーを集めている印象があります。次回が楽しみですね。

 

終わりに

 いかがでしたでしょうか。他にもこのコミュがいいなどの意見・感想がありましたらコメント欄で教えてください!(底辺YouTuber)

 個人的には、何枚かのスクショにまとめられなかったけど、めちゃめちゃいいシナリオ、みたいなのが紹介できなかったのが心残りです。(アイムベリーベリーソーリーは絶対見て)

 シャニマスのコミュはやはりゲーム画面で、BGMあり声ありオート再生で視聴するのが一番いいですから、これで気になったコミュがあったら是非一度見てみてください。そしてぜひとも私と怪文書バトルをしましょう。

 最後に記事の関係上書けなかった、「拝啓タイムカプセル」の好きな歌詞を挙げて終わりにします。ありがとうございました。

 

 大人なんて言えはしないけど

 日が暮れない魔法は無くていいんだって

 そう笑って言える

 想い出は未来が咲かすものだから

ノーカラットの考察

 

 たくやです。今回は「OO-ct. ノーカラット」の考察を行っていきます。

    この記事は298production Advent Calendar 2021 の6日目の記事です。

    5日目の記事は下記よりどうぞ。

sui-sui-ocean.hatenablog.com

 ノーカラットは2021年6月30日に実装されたSHHis初のイベントコミュであり、長さ・シナリオ・演出面ともにシャニマス最高レベルのコミュになっています。(小並感)

 今回その考察をするのはなかなか難易度の高い挑戦ではあるのですが、透・円香のコミュや「アイムベリーベリーソーリー」のような比喩マシマシのゴリゴリ難解コミュというわけではなく、しっかりと一つ一つのメタファーや対比構造、ふたりのバックグラウンドをしっかりと理解すれば考察ができるものになっています。さらに今後のシーズの展望やユニット自体やにちか・美琴のテーマについても触れられていきたいと思います。

 なお、にちか・美琴のカードコミュやその他シナリオのネタバレを含みます。できればノーカラットだけでも履修してから閲覧していただけると嬉しいです。(「ヴぇりべりいかシたサマー 七草にちか」・「間違いそうだ 七草にちか」のネタバレは含みません。文句があるのであれば、その二つのカードの内容を入れたうえで私の考察を越える考察を書いてみてください。)

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<概要>

ノーカラットは、(シャニマス全体で良く採用される表現の手法ではあるが)複数のシーンが同時に展開されることが多いです。またそのようなシーンの中には、本筋のストーリー(夏の音楽フェスティバル)にはあまり関係なくとも、比喩に富んでいたり、本筋の内容を補足していたり、シナリオやユニットのテーマにかかわる内容を示唆していたりといった、考察の対象としては重要なシーンが多くあります。

そこで今回の考察では、まず本筋のストーリーからサブストーリーを抽出して個別にみていきます。そしてその後に本筋のストーリーを追っていき、最後ににちかと美琴のキャラクター性・今後の物語の展開の予想・残った疑問などについてまとめていこうと思います。もし時間がなければ最後のほうだけを読んでいただいても大丈夫です。

<サブストーリー>                                                                                                  

1.売れない芸人

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「売れない芸人」のシーンはオープニング・第6話にあります。

序盤はただ芸人のネタを批判するだけでしたが、コンビの片方がもう片方を中華料理に誘うところからさらにその口調が強くなっていきます。すぐ後に出てきますが、過去に(遠回りではあるものの)にちかが同様に美琴を食事に誘い、それが失敗に終わったという出来事が原因になっていることが分かります。

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しかしにちかの逆恨みが怒りの原因であると安直に断言することはできません。

にちかは美琴と一緒に食事に行く「仲良し」な関係を望んでいた節があったことは読みとれます。しかし美琴はそれに気づかず次のレッスンの予定を立てようとしました。

シーズは「実力派ユニット」であり「美琴さんのユニット」であると考えているにちかはそのような美琴の行動を、「仲良し」は不要で「そのような無駄な時間を過ごすならば練習をするべきだ」という価値観の現れだと過剰に解釈し、自分にそれを強要するようになったと考えられます。にちかは、自分自身を自分の尊敬する人に近づけようとする傾向が非常に強く、それはWING編の八雲なみに対してもよく表れています。

また、このコンビを強い言葉で非難するという行動は、美琴との「仲良しユニット」を求める自分の価値観を責めるという意味もあります。

「♡まっクろはムウサぎ♡ 七草にちか」で深く言及されているのですが、にちかが強い言葉を使って他人を批判したり言い合いをしたりしている時は、その強い言葉が自己批判に繋がっていることがほとんどです。

ですからここのシーンは、売れない芸人とシーズの対比というよりはにちかが美琴の価値観を強迫的に取り入れようとして、元々の自分の価値観の中でそれにそぐわない部分(「仲良しユニット」への憧れ)を芸人に投影し、強い自己批判を行っているシーンとしてとらえるほうがより適切であると考えました。

また、その後の「売れるな」「幸せになるな」というのも自分に対して言っているということがほとんど明示されています。「今の自分は幸せになるべきではない」というような考えを持っていたということが伝わってきます。

f:id:takuya-shiny:20211206064534p:plain↑「♡まっクろはムウサぎ♡ 七草にちか」のコミュの一部

一方で第6話では、過去の自分のように「仲良しユニット」である芸人コンビに対して想いを馳せつつ、そのあり方を否定せずに決別し、「シーズ」のアイドルとして努力していくという決意の表れであると言えます。

自分の成長のために過去の自分を傷つけるのではなく、過去の自分を受け入れながら未来へ進んでいくというにちかの成長がみられるシーンであり、これこそがプロデューサーの言う「幸せになること」ではないかと考えます。

 

2.七草家での会話

「七草家での会話」のシーンは第3話にあります。

基本的にこのシーンの解釈は「売れない芸人」のシーンの解釈と同様に行うことができます。にちかはダンサーが練習に参加したことによって自分のダンスの技術がないことに対するコンプレックスが加速し、またチーム全体での疎外感を強く感じていました。そして家ではダンスの技術が全くないのにテレビに出ている「仲良しユニット」を揶揄し、「実力派ユニット」の一員としてそれらしい批判をしています。自分がシーズの一員であるのにふさわしくないと考えているにちかにとって、この行動は自分がシーズのメンバーであるということを周りに誇示して満足感を得る行動でありながらその実強い虚無感を感じさせる行動であり、自分を傷つける行動でもあります。その虚無感についてはにちかも自覚的であるからこそ自分と「シーズ」のギャップを感じ、その後に練習をしようとしていました。

また、その批判が心からの嫌悪によるものではなく、むしろ「シーズ 七草にちか」を顕示する材料になっているからこそチャンネルを変えられることを嫌がったのではないかと考えられます。

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3.美琴×はづき

美琴とはづきが会話するシーンは第4話にあります。

このシーンは特別解釈をしなければならない表現や言葉があるわけではありませんが、このシーン自体に複数の役割があるので言及しておきます。

まず、リフターの上で行うペンシルターンの練習をしている最初のシーンになっています。この後も美琴が出てくるシーンではペンシルターンの練習をしていることが多いですが、この段階では「何かを練習しているな」という程度の伏線になっています。

次に、第3話のラストの「美琴さんはどう思っているのだろう」という疑問に対する一応の答えにはなっているシーンでもあります。

そもそもノーカラット自体が主な視点はにちかになっています。美琴のモノローグはシナリオ全体で非常に少ないですし、後半で美琴の心情や本当の価値観が明らかになっていくのも、にちかと美琴が分かりあっていくということを描いた演出であると考えられます。ですから「いい妹さんだね」という美琴のセリフがにちかに対する印象のすべてを表しているとは断言できませんし、美琴は人に対する嫌悪感を口に出したがる性格ではない(もしくは嫌悪感を抱きにくい)ように思えるので解釈は難しいですが、全体を通してみても実際美琴はライブハウスであったにちかのことをそれほど気にしていないと感じました。

 美琴が相方であるにちかに求めるのは「アイドル」になることであると第6話で分かります。地道に練習を続けているにちかに対して「実力がないのに調子に乗っている」と考えて目の敵にするというのは提示されている美琴像とも食い違うように思えます。ですからこのシーンは、今までの主人公であったにちかの自己嫌悪が強い視点から一歩離れた視点からの状況を描く働きをしていると言えます。

 もう一つの役割として、後半に出てくるコマの話ではづきが美琴に共感する立場をとるということを印象付ける働きをしていると考えられます。詳細は後述します。

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4.P×にちか

プロデューサーとにちかが車のなかで会話するシーンは第4話にあります。

 にちかとプロデューサーの関係性は、ノーカラットのテーマというわけではないですが、にちかのコミュを読み解く上での重要な要素になっています。一般的には、プロデューサーがにちかにとっての親の代わりとしての役割を持つという解釈がよく言われているところです。「明るい部屋」・「♡まっクろはムウサぎ♡」で明かされたようににちかは父を亡くしており母は入院しています。であるからこそプロデューサーに対してうざがるような態度をとり、強く当たることで反抗期の代替行動をしていると考えられます。発達心理学の上でも反抗期の重要性は言われている所ですが、今回は詳細を割愛します。まとめると、にちかは一般的な青年期に起こる親・社会に対する反抗の対象がプロデューサーになっているということを理解しておけばOKです。

 さて、にちかは強い言葉を使って自分を傷つけるようなことを言う傾向があると話しましたが、このシーンではそれがよく表れています。これには、前のシーンでにちかが美琴に調子に乗っている所を見られたということへの自己嫌悪とフラストレーションがかかわっていることは言うまでもないでしょう。それに加えてにちかは、「七草家での会話」やライブハウスのシーンで分かるように、ファンや直接的にユニットにかかわらない人に対して自分がシーズの一員であることを誇示して一時的に満足する傾向があります(もちろん同時に虚無感も感じるでしょう)が、その反動のようにプロデューサーやダンサー、美琴のような、技術的な知識があり、「シーズ」のことを理解している人の前では、自分の「実力不足」をかなり卑屈にとらえ、シーズの一員として(美琴に並ぶアイドルとして)ふさわしい人間ではないということを強調します。ですからここのシーンでは今までよりも直接的に自分を傷つけていますし、そうしてプロデューサーを不快にしようとしています。

 プロデューサーはにちかの自虐的な発言を決して肯定することなくスルーしていきます。そして「どうして幸せになることから逃げるのか」という問いをぶつけます。にちかはもう十分なテクニックを獲得していて、自分を追い詰めることで死に物狂いの努力を自分に強要してきたWING編を乗り越え、アイドルとして伸び伸び活動していけるだけの自由さを手に入れたということをプロデューサーは強調しています。

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 これは個人的には事実なのではないかと思います。これはWING編の考察になってしまうのですが、にちか自身にアイドルとしての才能が他の人よりないということは事実だと思います。しかしだからと言って努力しても成長しないわけではないし、良いパフォーマンスができないというわけでもありません。ただ単にトップアイドルになるための努力の必要量が他の人よりも多いというだけです。だからこそにちかをアイドルにすることに対してプロデューサーは乗り気になれなかったし、そのことがにちかの「幸せ」につながるとは思えなかったのだと考えています。WING編でにちかは十分な技術を持つアイドルに成長しました。しかしその結果は、高い理想を掲げ続けて自分をとことん追い詰め続けた先に手に入れたものであり、その過程は決して幸せなものではありませんでした。だからプロデューサーはWING優勝後コミュで、「八雲なみ」からも「はづきとの約束」からも解放されたにちかに「幸せになってほしい」と言ったのだと考えています。

 

f:id:takuya-shiny:20211206064650p:plainしかしこのノーカラットで蓋を開けてみれば、にちかは美琴に並ぶアイドルになるためにまた自分を追い詰めていき、幸せから遠ざかっていました。これを見てプロデューサーは「にちかが幸せから逃げている」というように感じたのでしょう。

 ここでのにちかはシーズの中で相対的に自分が劣っていると考え、努力を重ねようとしています。「自分は技術的に劣っている(アイドルとしてふさわしくない)のだから、必死で努力しなければならない」と自分に言い聞かせてしまっている状態になっているのでしょう。そしてこの考え方こそがにちかを幸せから遠ざける、自分を否定して焚き付け、死に物狂いの努力を強要する考え方であるといえます。しかし絶対評価としてみればにちかは十分なスキルを持っているのだと考えられます。だから誰かがにちかを立派なアイドルとして認めてあげる必要があったのではないのでしょうか。きっとプロデューサーもそう考えてにちかを肯定したのでしょうが、その言葉はにちかには届きませんでした。にちかにとっては、技術もなくて実際にステージに立つわけでもないプロデューサーではなく、コンプレックスを刺激してくる対象であるダンサー、美琴から認めてあげることが必要だったのでしょう。そのことは「みんな(ダンサーたち)の目に映っていない、美琴さんの目に映っていない」というセリフからも分かります。

 そしてプロデューサーは、美琴は一人で踊っているなら誰かがそれを二人にしなければいけない、そしてにちかは美琴のために、美琴はにちかのために踊れるアイドルであると言います。

 にちかはその言葉の意味を理解しようとしませんでしたが、この言葉の意味は明かされたわけではありません。当然この流れからして技術的な話をしているのではないと思いますが、実際どういう意味かはただの考察の域を出ないと思われます。

5.コマの大会

「コマの大会」のシーンは第5話にあります。

 このシーンは「コマの大会」・「リハーサル」「美琴の回想」という3つのシーンが並行して展開されています。ここでは「美琴の回想」との関係性は抜きにして、「コマの大会」のシーンと本筋である「リハーサル」について言及したいと思います。

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 コマの大会を取り上げたドキュメンタリー番組が放映されているのをはづきと天井社長で見ています。その内容は女子高生チームがコマの大会に出場するという話で、順調に勝ち進んだのち本選出場の切符をかけた戦いで有名大学の工学部チームと当たります。

 この二チームが対比になっているのは言うまでもないですが、「回るコマ」と、シーズの二人が練習している「ペンシルターン」が類比になっています。もっと言うと美琴と工学部チーム、(おそらく)にちかと女子高生チームがそれぞれ類比になっています。美琴はステージを成功させることを目的にひたすらターンの練習をしてきました。かたやにちかはステージ直前にマスターしたばかりです。もちろんステージで披露するわけではないですが、二人のターンの質の差は大きかったでしょう。しかしにちかのターンは「他のダンサーと初めて打ち解けて教えてもらった」「美琴と同じことを学べた」といったドラマを背負っています。そしてそんなターンが結果として美琴を救った(かもしれない)という結果を産んだのです。

 とは言ってみたものの、正直このシーンを美琴とにちかの対比として捉えるとあまりきれいな類比にはならないですし、その後の議論のシーンもつながってこないように思えます。上でおそらくと書きましたが、美琴とにちかへの類比でありながら、美琴というアイドルが抱える問題のようなものを比喩しているものとしても捉えるべきでしょう。

 アイドルとはステージを魅せるものであり、その点でいえば高い技術を身に着け、より高度なパフォーマンスをしたアイドルがよいアイドルということになります。しかし実際に美琴は今まで実力は一番でも評価はされてきませんでした。つまりアイドルの世界とはコマの大会のような世界ではなく、「勝つための努力が一瞬の想いの輝きに消し飛ばされてしまう」ような世界であるということを強調したいのかもしれません。

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しかしそのような「アイドルの想い」の勝利の裏には理不尽な敗北を強いられた実力派のアイドルがいることにはづきは言及しています。ここではづきがシーズのような敗北を強いられた側に共感的な発言をするのは、にちかがシーズに属していることももちろんあるかもしれませんが、一人でペンシルターンの練習をする美琴(工学部チームの比喩)が努力していることを見ていた事務員であることや、そこで二人の会話があったということも伏線(というほどのものでもないですが)になっていたのかもしれません。

そしてその両者のどちらのほうを応援するかという問いに答えが出たためしはないという話を天井社長が一方的にしてこのシーンは終了となります。最後の3つのセリフは読者に投げかけたシーンともとれると思います。皆さんはどちらを応援するでしょうか。

このテーマ自体非常に含蓄に富んでいて面白いテーマであり、そのような難しく、触れられることがなかったテーマに切り込んでいくシーズと緋田美琴が非常に面白いです。

まとめると、このシーンはリハーサルの二人と対比構造を作りながら、緋田美琴とシーズのテーマを再確認するようなシーンであると総括します。またそのテーマ自体がアイドルという概念への皮肉になっていることも非常に面白いです。

6.美琴の回想

「美琴の回想」のシーンは第2話と第5話にあります。

 第2話で幼少期が回想されるシーンでは、ショッピング施設(?)を歩いている美琴が自動演奏のピアノのメンデルスゾーンを聞いていました。自動演奏だと美琴が気づいたセリフの後で回想が挟まれ、「本当に上手ねぇ……」と推定美琴のピアノが称賛されるとその直後に、美琴が自動演奏のピアノを「上手ね」と褒めてこのシーンは終わります。

 このような書き方をすると非常に分かりやすいですが、幼少期の美琴と自動演奏が類比されているのです。幼少期といっても、ここでは美琴自身と実質類比されていると言っていいでしょう。つまり美琴のパフォーマンスは自動演奏のように「上手なだけ」で無機質なものと表現されていると考えられます。そもそも美琴のテーマ自体がそれに近いものではあるといえばそうなのですが、そのことが再確認されるのもこの「ノーカラット」の特徴です。

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 さて場面は変わって第5話でも回想が挟まれます。といっても美琴が実際に回想しているわけではなさそうなので、美琴の心情とリンクしているわけではないのでそこには注意しなくてはいけません。また、直前の「コマの大会」のシーンとも深い関係があるのでその関連性についても説明していきます。

 「女子高生チームのコマはよく回った」というセリフの次に亡くなった飼い猫のミャオのためにピアノを弾く生徒のセリフが入り、「有名大学の工学部チームが立ちはだかる」というセリフの後にピアノ生徒の保護者が「緋田さんはいつもお上手だから」と話すセリフが入ります。いうまでもなく女子高生チームと有名大学の工学部チームがそれぞれ「ミャオのために演奏した生徒」と美琴に類比されています。コマの大会では「有名大学の工学部チーム」が勝利しましたが、こちらでは「ミャオのために演奏した生徒」のほうが最優秀賞を獲得しています。この展開が社長のセリフとリンクして非常に引き込まれるシーンとなっています。

 この幼少期の出来事も「勝つための努力が一瞬の想いの輝きに消し飛ばされてしまう」例の一つであり、加えて美琴自身がそのような場面で敗北してしまうということも表されています。このシーンの対比構造や比喩表現は分かりやすいですが非常にうまくできているように感じられます。

7.奈落

「美琴の回想」のシーンはオープニングとエンディングにあります。

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「ノーカラット」は「奈落」で始まり「奈落」で終わるという構成をしています。ですからいうまでもなく重要なテーマであるはずなのですが、正直言ってあまりにこのシーンだけ独立しすぎているので100%あっている考察するのは難しいです。とりあえず1解釈として見ていただきたいです。

まず「奈落」という言葉の意味についてですが、舞台の床下にあるスペースを指すそうです。そこからキャストやら大道具やらが出てくるのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

にちかはその奈落を「客席のざわめきを一番感じる場所」と表現し、美琴は「見上げる場所、始める場所」と表現しています。

にちかの表現については、まあ割と普遍的に感じる文言であると思います。その普通さをにちからしいという解釈をすることもできますが、にちかに「普通の女の子」というキャラ付けをするのはあまり好きではないので棄却します。にちかは周囲の目を強く気にする傾向が強いです。思春期の高校一年生ですから、自分がどう思われているかについて過剰に敏感になる年ごろでしょう。美琴からどう思われるかをノーカラットでは終始気にしていますし、プロデューサーには傍若無人にふるまっていますがホームユニットの会話などでは割と空気を読んでいるシーンが多いです。加えて「CDショップの店員」という経歴を持つということもあり、ファンの視点や批評をする側を明確に持っているのも特徴の一つでしょう。この2点が考察として考えられるものだと思います。

美琴の場合は比較的分かりやすく、ステージ自体を憧れの存在と考えている視点やパフォーマンスに全力を注いでいることからステージ以前の練習の段階ではまだ始まっていなという「ステージ」を明確に意識した分になっています。

そしてにちかは「ここを上がったら、一人になる」と、美琴は「ここを上がった時のために、全てがある」と続けます。

にちかの場合はパフォーマンス面で美琴に劣っていることやファン出身の新人であるからこその不安感が表れています。この不安感はひとつ前のセリフの「ステージのざわめきを…」でも表れているかもしれませんね。美琴の場合はやはり「ステージ」を強く意識した表現になっているという点に尽きます。美琴自身が「いいステージを創る」ということをもはや狂気的にさえ求め続けているというのがシナリオ全体から読み取れる印象的な点であり、そこが明確に表れていると思えます。

エンディングの一回目の「奈落」のくだりでは、美琴は前回と一貫して言うことは変わらず、にちかはその美琴に対して劣等感のない、純粋な憧れを抱いてそのセリフを追いかけています。シーズの二人が分かりあえたということが印象的に表れるシーンですが、二回目のくだりで結局二人の関係性は最初から成長していない、結局戻ってしまったということが表現されていると感じました。

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ちなみに聞き比べてみましたが、「奈落」関連の全てのセリフは、フレーズは同じでも微妙なトーンの違いがあったので録音し直していると思われます。

<メインストーリー>

ではここからメインストーリーの解説をしていきます。といってもそれと並行するストーリーや比喩は一通り上で説明し終えたので、手短にストーリーを振り返るというような雰囲気で行っていきます。

1.オープニング Ⅰ

奈落の話が終わり、芸人のくだりが始まりますが、にちかは美琴に対して中華屋さんのクーポンを提示することで遠回しに食事に誘いますが、それに気づかず美琴は断ります。正直サポートカードの雰囲気を見る限りはそこまで関係が悪いようには見えませんが、出会ったころはよく話していたということが言及されていたので、サポートカードの時はまだお互いを分かり始めた最初期段階であり、「ノーカラット」のWING優勝後の時間軸では最低限お互いについて分かったので二人の会話が少ないのではないかと考えられます。また、にちかはWING中アイドルを辞めるかもしれなかったわけで、そういう意味でコンビの美琴と関係性を構築するような余裕が出てきたということもあるでしょう。

既に上記で書きましたが、美琴とにちかの温度差や周りからのシーズへの評価と自己評価のギャップなどににちかが苦しんでいる段階です。

2.第一話 Ⅱ

シーズの二人がテレビ番組にでているシーンから始まります。にちかはここでも美琴の判断を伺っていますが、本人はそのような露出に面白みは感じておらず飽き飽きとしている様子です。美琴のほうはステージの告知をする点を考えて出演しますが、それに気を抜くことはありません。ですがその出番ではスポーツ選手のような真面目な受け答えをし、ディレクターは今後の起用に難色を示していました。

 この章では美琴(シーズ)のステージ至上主義のようなものがよく表れていて、にちかにはその美琴への憧れや邪魔をできないというプレッシャーが表現されています。ですがその姿勢自体はTV業界に受け入れられるものではありません。ここで美琴WINGのテーマが想起されるでしょう。そもそもシーズがどういうユニットなのかもあまりシナリオでは触れられてこなかった内容でしたが、美琴の要素を強く受け継いだユニットであることが初めて分かります。

3.第二話 Ⅲ

二人のステージにダンサーが付くという提案がされます。にちかは自分の実力を理解している分返事に詰まりますが、美琴に従ってOKします。そして実際にダンサーが来てみるとやはり自分との知識量や技術の差を感じ強い劣等感を抱きます。それを自宅でテレビ相手に発散しましたが、その裏で強い虚無感も同時に感じ、一人で練習を始めました。

 シーズとして求められている実力とにちかの実力がかけ離れているという風ににちかが感じ、非常に鬱屈とした話になっています。この辺りは上でも散々触れたのであまり書くことはありません。シーズと自分のギャップに苦しむにちかと一人で黙々と練習に励む美琴がよい対比になっています。

4.第三話 Ⅳ

にちかは引き続きダンサーに劣等感を刺激され続けたためにあまりバイトにも身が入っていません。そのためバイト先の先輩にライブに誘われました。一方美琴は音楽関係の意識高い系の人と一緒に同じライブに参加していました。にちかが周りに煽られシーズに乾杯していた時にそれを美琴に見られてしまいます。にちかは自分をシーズの足手まといだと考えているので、そんな足手まといがシーズの看板を使ってちやほやされるのを美琴に見られて自分に絶望したといっても過言じゃないでしょう。

にちかはこのシーンでも自分の実力不足に心を病み、ライブハウスでそれを発散しようとしていました。モノローグや回想と現実の会話が交互に差し込まれることで、にちかの心ここにあらずといった様子が効果的に表現されています。このようなサウンドノベル的な表現がシャニマスは上手だなぁと感心してしまいます。

 一方美琴は意識高い系の音楽業界の知り合いと話をしていますが身の上話にはあまり興味がなさそうで、さらにそのストイックさを評価されています。そのような集まりの中でも美琴は異彩を放っているということが分かります。そんな中でも、自分の姿勢に疑問を持つ場面が度々出てきていて、同年代だったり似た状況だったりする相手が出てきたことで客観的に自分を観察しての発言が多いのも珍しいと思います。

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 このシーンはかたや音楽の業界人と勉強もかねてライブハウスに来た美琴と、かたや一観客としてライブに熱狂するにちかとが対比になっていたところでその二人がばったり出会うという綺麗な構図をしていますが、にちかの視点では最悪の状況といわざるをえないでしょうし、美琴は完全にそれをスルーします(別ににちかに失望したからというわけでも無さそうですが)。

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5.第四話 Ⅴ

 リフターの使用を美琴に提案するシーンから始まります。前シーンのことをいつまでも気にするにちかと対照的に美琴は全く気にしていない様子です。その後美琴がはづきと話をするシーンでにちかとのエピソードが紹介され、プロデューサーとにちかの車内での会話でシーズの二人へのプロデューサーの想いやにちかへの問いかけなどが行われます。後半の二つに関してはすでに言及済みなのでそちらを参照してください。その後倉庫で一人練習する美琴を見かけますが、にちかは声をかけることは出来ませんでした。

 この章では完全に美琴とにちかが分離されていて、二人のすれ違いというものがよく表れているように思えます。また、ここから美琴がペンシルターンを練習するシーンが随所に挟まれるようになります。にちかがそれを複数回目撃することが次の章に繋がっています。短いですが、既に言及していることが多いパートなのでこれくらいで締めます。

6.第五話 Ⅵ

この章はにちかが一人でペンシルターンをしているシーンから始まり、ダンサーの一人から教わることでペンシルターンをマスターします。リハーサルが始まり、リフターを試してみるタイミングになっても美琴がペンシルターンの練習をしていることににちかは気づき、リフターの上で美琴が踊ろうとしていることを見抜きます。しかしその時にはもうリハーサルは止まらず、声も美琴や監督に届きませんでした。そんなにちかは気が動転したのか自分もペンシルターンをしましたが、落下してしまいました。そんなにちかを見て美琴が初めて「にちかちゃん」と名前を呼びます。

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この章は怒涛の展開であっという間に終わってしまうように感じられました。まずにちかとダンサーという対立さえしていた両者が打ち解けるシーンがあり、今までとは少し違うような雰囲気が感じ取れます。リハーサルではにちかが美琴の意図に気づくとメンデルスゾーンが流れ始めます。上に書きましたが、自動演奏と美琴が類比されているシーンがあるので、自動演奏されていたメンデルスゾーンの「情熱」が美琴のテーマソングというか、美琴の曲のように扱われているのも印象的です。機械のようにステージの質の向上を求める美琴の姿を表しているのかもしれません。そして曲調に合わせるようにしてにちかは慌てはじめ、自分も回転するという暴挙に出ます。そして美琴が自分を見ていることに嬉しそうに反応します。ライブハウスで二人が会ってからここまで二人が会話するシーンも会っているシーンもなく、このシーンで二人の目が合ったことがより印象的になっています。また、にちかは第三話のラストで美琴に実質無視されて以来「美琴の目に自分がうつっていない」ということを強く感じていたのだと考えられます。どういう形であれ美琴の目に映ることができたことが嬉しいということでしょうか。

7.第六話 Ⅶ

この章はにちかと美琴がタクシーに乗っているシーンから始まります。その回想という形で二人が中断された自主レッスンの続きとしてスタジオに向かっているということが明かされます。そしてスタジオについた後は練習やお互いのアイドルについての考え方やステージへの向き合い方について話し続けました。にちかが美琴と打ち解けることができているという喜びを感じたり美琴への悩みの相談をしたりして、にちかはアイドルとしての決意を強めました。それと並行して事務所ではプロデューサーがはづきににちかをケガさせかけたことを報告していました。最後にはシーズの二人には人生で大切なものを見つけてもらうという宣言をプロデューサーがしました。

まずタクシーの中のシーンでは今までの雰囲気や息苦しさがなかったかのように他愛もない会話が繰り広げられ、ゆっくりとした時間が流れていました。これは二人の関係性の変化がはっきりと表現されています。美琴にとっては何がきっかけで打ち解けられたのかは分かりませんが、多分むしろにちかの方が「美琴に見てもらえた」と感じたことをきっかけにある程度の積極性を持てるようになったということが理由ではないかと思われます。

スタジオについてからの会話も重要なものが多いです。練習後に美琴から水をもらうとにちかは感動して過去のやり取りを思わず想起しました。しかし冷静に考えるとこれは関係性の変化というよりは、練習後の水分補給のときに美琴の方がが勝手知っているスタジオであるのでにちかに水を出しただけであり、劇的な変化とは到底呼べないものだと考えられます。ただそれによってにちかのほうにさらに積極性が表れています。倉庫で練習をのぞき見したのを隠さず話すこともできました。そしてその後は美琴に促されてにちかが「ホーム・スイート・ホーム(埴生の宿)」を弾きます。そしてそこから幼少期のにちかの思い出や、なぜアイドルにここまで執着するのかというWING編からの疑問への回答も確認できます。にちかの父はすでに亡くなり、母も入院生活をしている現状のにちかにとっては家族の中のアイドルだった頃の思い出は非常に美しく輝くものだったのでしょう。そのような尊い日々のキーワードが彼女にとってはアイドルであったわけです。

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しかし実際にアイドルを目指すと迷うことだらけで、それから目を背けるために必死で努力をしていたらどうすればいいかわからなくなってしまったと、車内でプロデューサーと会話したシーンからの中心的な問題について美琴に吐露しました。この疑問自体はまさに美琴が抱いているものと同じものだと考えられます。24歳というアイドルとしては若くない年齢になり、今まで実力は評価されてきたものの人気は出ず、アイドルとしての袋小路にいるというのがWING編までの美琴の状況でした。そしてその疑問への答えは、美琴にとってはひたすらに練習することだったのです。つまり状況だけ見ればにちかと全く変わらず、自分に現れた不安を練習量で押しつぶすことで忘れようとしていただけだったのです。ですから美琴がにちかにできるアドバイスは「練習するしかない」ということでした。

そして、「アイドルじゃないと思ったらもうアイドルじゃない」「アイドルになれない人とは私は組めない」とにちかにはっきりと言ってみせます。この言葉自体は個人的には話の結末としては意外でした。プロデューサーが望むような、にちかにとっての幸せとはこのようなことだったのでしょうか。美琴のアドバイス自体は「不安を感じないようになるまで練習をして実力をつけろ」ということで、にちかを明確に救ったわけでも「幸せ」を示したわけでもありません。つまり「無理ならやめろ」と優しく突き放したというわけですね。この行動自体が一般的な「物語」としては珍しいように感じました。本当にそれがにちかを救う言葉かは分かりませんがそのような道もまた一つの選択であり、それを言われたにちかも重圧に負けることなく決心を固めた様子で返事をしています。「売れない芸人」のところでも少し言及しましたが、その後のシーンでは、楽しく活動をしようとする自分に決別し、美琴のようにストイックで自分を追い詰めさえするような努力をしていくということを決心したのです。そしてなによりそんな「盲目的な努力をしようとする自分を肯定することができた」ということがこの章の、そしてここまでの「ノーカラット」の意義だったと言えるでしょう。

はづきとプロデューサーのシーンでは、はづきが保護者としてすごく心配であること、にちかが夢を諦めた後でもずっと生きていかなくてはいけないということが言われます。それに対しプロデューサーは、「ずっと生きていくために必要なものを見つけてみせる」と言います。正直アイドル育成ゲームで語られるべき内容かどうかは難しいですが、自分はこれこそがシーズのテーマであると声を大にして言いたいと思います。少し上記したことともかぶってきますが、作中でプロデューサーはアイドルたちが幸せになるということを意識した行動が非常に多いように思います。それは事務所の都合やアイドルとしての活躍を度外視した行動にもつながっており、多くのストーリーでそれを見ることができます。それが特に表れているのはそもそもアイドルに向いてはいないというテーマのシーズであり、二人の最終的なゴールは「アイドルとして成功する」というよりは「幸せになる」ということであると自分は感じています。

f:id:takuya-shiny:20211206064936p:plain8.エンディング 0 0

この章はにちかのアイデアで夏の音楽フェスが成功したということが伝えられ、それに対してルカが大変な嫉妬(?)をするというシーンから始まります。その後は二人で一緒に事務所に向かいながらピアノで「ホーム・スイート・ホーム」を弾くという二人の協調を象徴するようなシーンが挟まれたものの、最後にはにちかが様々な番組からオファーを受け、二人はすれ違っていくというようなことがほのめかされる終わりとなっています。

まず斑鳩ルカについてですが、現状情報が非常に少なすぎて妄想の域を出ないので今回は言及を避けたいと思います。

音楽フェスが成功したことについては、にちかが初めてアイデアをだしてそれが美琴にも認められ、素晴らしいステージにつながったということで、シーズが二人で協力していいステージを創ろうとする新たなユニットの形が示された一瞬だったと思います。また「誰かが二人にする」というプロデューサーのセリフの回収にもなっています。またそのような内容は次のシーンにもつながっていて、二人で事務所に向かう最中に自動演奏のピアノを見つけ、美琴は自動演奏のように完璧に弾いて見せますがそれでは人の心を動かせるか分からないといい、「ホーム・スイート・ホーム」を二人で弾きました。美琴にとってのここでのテーマソングが「メンデルスゾーン(情熱)」なのだとしたら、にちかのテーマソングは「ホーム・スイート・ホーム」であり、二曲は対比になっています。また、にちかの家族との温かい思い出のこもったこの曲を美琴が、そして二人で笑いながら弾くということは正ににちかの幸せのプレイバックであり、前話では果たせなかったアイドルとしての幸せではない幸せさえもにちかは取り戻せるのかもしれないということさえ暗喩されたシーンでした。

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しかしそう甘くはありませんでした。結局美琴の視点で考えると自身が抱えていた問題を何一つ解消していなかったのです。珍しい美琴のモノローグでは「見たことがある」とだけ言われ、ルカも同じようにしてすれ違いを起こしてきたのだということが暗に示されます。現在美琴とルカが解散していることを考えると、シーズも同じ道をたどるのではないかという不安が掻き立てられる形で「ノーカラット」は終了になります。この章は特に演出面で力が入っていて、最後のシーンなんかはアニメを見ているかのような錯覚さえ覚えてしまいます。結局二人は一歩進んで二歩下がるような状態が続いてしまっていて、今後のストーリー展開を待つのみになっています。

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<シーズの今後>

最後にシーズの今後について簡単に予想していきます。

 今回のシナリオは、主ににちかの視点で進んでいきました。もちろんだからと言って美琴についての話がなかったかと言われるとそうではなく、暗喩や少ないモノローグから美琴の境遇や心がある程度表現されていました。しかし今回の話はどちらかと言えばにちかの話だったと言えるでしょう。ですから次のイベントシナリオは美琴に視点かスポットがあてられるものだと考えられます。

 美琴が抱える問題はWING編で挙げられていますが、まだ言及はされていない問題があります。それは「他人の視点」が圧倒的に欠如していることです。それは作中でも他の人とずれているという形で何度も表現されてきています。そしてその問題を言い換えると観客の視点が足りていないということが言えます。他人の視点とずれているというだけならまだしも観客の視点も持てないというのはアイドルとしていささか致命的な問題にはなりえないでしょうか。

 そのような致命的な問題になりそうな根拠はいくつかあり、主にリフターのシーンの話ですが、プロデューサーと二人で話している時には「お客さんと同じ目線に立つ」という演出の意図をくみ取ることができていませんでした。また、作中でのセリフを見てみると「ステージを創る」「感動も、納得もできない」というように、良いステージを創るという点まで言及されても、その結果観客を喜ばせるというところまで言及しているシーンは決して多くありません。美琴の現在の境遇を考えると、今まであまりステージに上がる機会はなく、その上で血のにじむような練習を重ねる必要があったと考えられます。そうなるとそれはもはやアイドルという存在への意地ともいえる執着が必要だったでしょう。そうしてひたすら孤独に最高のステージを希求していくうちに、ステージが「皆に感動を与える」ためのものから「自分を納得させる」ものへと変化していったのではないかと考察できます。

 そして「奈落」で少し言及したようにその観客の視点を持っているのは他でもないにちか自身であり、そこを補う形で再び「シーズを二人にする」というシナリオが来るのではないかと予想します。

<まとめ>

今回は「ノーカラット」の考察をしていきましたがいかがでしたでしょうか。

慣れない考察でしたのであまり何を書いたか覚えていませんが、自分の満足いく文章にはなったと思います。ただ感謝祭の内容に言及できなかったのは心残りです。

現在12月6日の6時38分ですので、今から急いで投稿しようと思います。ここまで読んでいただいた方はどうもありがとうございました。